平成13年度においては、文献的研究、米国と中国の研究者との相互討論、及び予備調査の後、渡米して、「人間の多様性への寛容」に関する日本語版と米語版の2種類の測定用具を開発し、日本の小学生、中学生、及び高校生を対象に調査を実施した。また、他者との交流経験が寛容に及ぼす効果を、日本の小学生を対象に調査した。 平成14年度においては、これらの調査を受けて、以下の研究を行った。 1. 日本における調査結果を分析し、「信頼が希望を、希望が寛容を規定する」という方向などを見出した。また、これらの研究結果を(1)日本心理学会のワークショップ、(2)カナダでの国際行動発達学会(ISSBD)などで発表し、今後の分析方向や研究展開への示唆を得た。 2. 来日している中国人研究者と共に相互討論しつつ、既に日本で実施している2種類の日本語版の測定用具を翻訳して、中国語版の測定用具を作成した。 3. 昨年9月末に中国を訪問して、調査依頼を行い、中国済南市において、小学生、中学生、及び高校生を対象に2種類の調査を実施した。現在、その結果を分析中である。なお、米国における調査は、現在もなお教育委員会等と交渉中であるが、今夏までには、実施できる見込みである。 4. 「希望・信頼・落ち込み・ストレス、現在大事なこと、及び人生の目標」に関する日本語版と中国語版の調査用紙を、中国の研究者と共同で作成し、中国大連市、及び松山市の中学生を対象にして実施した。 5. 昨年日本の小学校高学年児童を対象に実施した「自己と異なる他者への寛容」調査の結果を分析して、論文として公表した。
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