1 人的資源とビジネスモデルの相互充足性原理について理論とその実証研究を行った 効果的な組織マネジメント、特にヒューマンマネジメントにおいて普遍性を持つ理論として、人的資源とビジネスモデルの相互充足性原理を提唱した。これによって、時代を超えて、文化を超えて、景気のいかんを超えて、ヒューマンマネジメントの適切性を検討できる視点が得られる。 わが国で業績を上げている組織は、この相互充足性原理に適っている。米国のそれも全く同様である。ビジネスモデルの実行にあたって、それに欠かせない人的資源(モチベーション、能力、そして状況規範要因)を整えることに成功している。そしてまた、そういう不可欠の人的資源を育成し、醸成できる原理と内容を持つ人事制度が運用され、リーダーシップも発揮されているはずである。その制度は、成果主義的でも年功主義的でも、原理的には構わない。 本年度はまた、この相互充足性原理について、日本企業511社の人事および経営企画責任者を対象とする調査を実施した(産業能率大学総合研究所との共同研究)。主な結果は、(1)成果主義の内容は多様であり、(2)成果重視の人事制度は、成員のモチベーションや能力には促進的であるが、対人関係には促進的と抑制的が相半ばするとみられており、そして(3)その効果性は、組織特性、職務課題特性、あるいは評価内容などと関連して大きな差異がみられることも判明した。 2 「時限性を持つチーム」の業績を左右するリーダーシップ要因を解明した 我が国の組織において時限性を持つチーム(プロジェクトチームなど)のリーダー155名を対象とする調査研究を実施した。そしてチームリーダーシップの測定尺度を開発した(産業能率大学研究開発部との共同研究)。それをもとにして、チームの置かれている条件が厳しいときほど、可能性を柔軟に探索し、試行や実験を積極的に行うチームほど活動は活性化し、業績も高いことが判明した。
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