研究概要 |
平成14年度においては、首都圏の私立女子中学・高等学校一貫校4校を中心に、導入されたスクールカウンセリング・システム(SCS)のモニタリングが実施され、同時に、SCS活動の調整(fine-tuning)が行われた。また、評価ツールの開発が生徒用尺度を中心に引き続き行なわれた。SCS活動の調整に関しては、各校の学校ニーズに合わせて、心理教育プログラムの展開が図られた。2校において、ピアサポート・プログラムが導入され、残り2校においては、摂食障害発生予防を目的とした心理教育プログラムが展開された。 CAN-SCS, S-version (Comprehensive Assessment of Needs for School Counseling System, Student-version, SCS構築のための包括的ニーズ評価尺度、生徒版)の開発が以前より行なわれてきたが、本年度の研究により、その下位尺度の一つである「仲間関係発達尺度」の開発が終わり、CAN-SCS, S-version全体が一応の完成をみた。「仲間関係発達尺度」とは、子どもたちの仲間関係発達における3つの相(ギャング、チャム、ピア)のグループ概念を用いて、彼らの心理社会的発達段階を捉えようというもので、平成13年度の予備調査結果をもとに、本年度は修正版を開発し、広汎な調査が行われた。その結果、十分な信頼性と妥当性が確認され、また子どもたちの仲間関係における発達図式が明らかとなった。さらに昨年度CAN-SCS, S-versionを実施した公立中学校において、本年度は1学期、2学期の二時点で同調査を実施し、年度間、学年間、学期間の比較検討が行われた。 今年度発表された研究論文は、学校へのSCS導入によって保護者ニーズがどのように変化したかを示した中西論文と、「仲間関係発達尺度」の予備調査をまとめた黒沢論文であった。
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