1.カウンセリングの実施と記録 淑徳大学発達臨床研究センター成人心理臨床部門の外来心理相談12事例について、のべ137回のカウンセリングを行い、記録をとるとともに、ビデオテープに収録した。 さらに、社会学部の実習授業の中で、大学3年生を対象とした1回相談のカウンセリングを8事例行い、ビデオ記録を行った。 2.相談効果の要因分析 上記のカウンセリング事例のうち、後半の実習授業のカウンセリングについて、過去の事例と併せて、計24事例の相談効果がどのような要因によって説明されるかを重回帰分析によって検討した。用いた研究パラダイムは、相談効果の共通要因に焦点を当てるものである。その結果、カウンセラーの行動以外に、クライエントからの評価も要因に含めて検討したが、最も大きな説明要因として浮かび上がったものは、相談目標の明確化の程度であった。 3.今後の研究計画の作成と実行 上記の研究結果をもとにして、カウンセリングの相談効果の説明要因としてさらに詳しく分析すべき変数の絞り込みをおこなった。そして、1.の外来相談のビデオ記録を、担当カウンセラー以外のカウンセラーに見せて、これらの変数について、どのように該当するかの評定を行わせた。事例記録は多数あるため、この分析はまだ終了しておらず、次年度も引き続いてこの分析を行う予定である。 さらに、こうした相談効果の説明要因が明確になったならば、日本全国の臨床心理士に対して、そうした要因をどのように扱って相談にあたっているかのアンケート調査を行う予定である。
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