1.カウンセリングの実施と記録 学部の実習授業の中で、大学3年生を対象とした1回相談のカウンセリングを8事例行い、ビデオ記録を行った。 2.他のカウンセラーによる相談記録の評価 上記のカウンセリング事例と、昨年度までに記録した他のカウンセリング事例のビデオ記録を、カウンセリング歴3年以内のカウンセラーに見せ、解決行動の明確化、特定の心理療法の技法の使用、クライエントの相談目標の具体化、クライエントの課題の具体化、カウンセラー・クライエント関係といった要因について、質的・量的な評価を行わせた。 3.上記相談記録の量的・質的分析 上記の相談記録を重回帰分析によって、相談効果の説明要因をリストアップした。さらに、その意味を、解決志向アプローチの観点から質的に論じた。 4.臨床心理士の臨床経験に関するアンケート調査 上記3によって浮かび上がった相談効果の説明要因に関して、日本全国の臨床心理士400名に対して、そうした要因をどのように扱って相談にあたっているかのアンケート調査を行った。自身の経験した、成功例および失敗例の典型例について、この説明要因がどのように扱われているかを量的・質的にアンケートし、特に、成功例と失敗例の大きな違いは何であるか、上記3による量的・質的分析結果との一致点・不一致点が何で、それはどのような理由に依るかを考察した。 5.以上をふまえて、日本における臨床心理士およびカウンセラーの教育において、特に考慮すべき点について考察を加えた。
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