本研究は日常の社会的相互交渉において、幼児がどのように日常会話でトピックを継続していくのかを明らかにすることを目的としている。子ども間の会話には、クラスの同年齢児の子どもや、統合クラスに在籍する発達障害児との相互交渉、保育者との相互交渉も含んだ。平成14年度に引き続き、保育所での日常観察データを収集および家庭での乳幼児親子の会話もあわせて収集し、分析を進めた。平成15年度は、第1に、親子間の会話分析において食事場面の継続データと絵本遊びの継続データを比較検討することにより、場面の違いにおけるトピックの継続の特徴を分析した。その結果、子どもの月齢が高くなるにつれてみられる会話の構造的変化と、トピックが、場面に規定されているものとの両面があることがわかった。また、トピックの維持と、他者及び自己の内的状態の言及との関連も分析した。第2に、4〜5歳児クラスの同年齢児の子ども同士の会話において、どのようにトピックが維持されるのかの質的分析を行った。その結果、トピックの維持における語用知識や、会話の相互調整や、トピックの逸脱や発展における笑いの役割などの知見が得られた。幼児期のナラティヴにおいてトピックの維持に影響する発話と身振りやしぐさとを分析した。あわせて関連性理論の観点から子どもの会話構造の発達における相互性の意味性について研究成果報告書にまとめた。
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