研究概要 |
平成13年度に引き焼き、学校教育における「心の教育」のプログラムを開発しつつ、教育方法を支える技術と理論の追求を行った。目標は、1)『応答構成法』による教師の生徒および父兄との対話能力を高めるトレーニングプログラムの完成、2)学級集団を心の教育現場均と見立てた学級集団精神療法の試みをベースにした学級集団介入のトレーニングプログラムの開発、そして3)教師サポートグループプログラムの開発にあった。 1)は、小谷・能他(2001)、小谷・中川他(2001)、教師自身のストレスと技術との関連の検討を継続し、方法論として安定した成果を出せるものへと精錬させた。 2)は、小谷他(2001,2003)で4年間に渡り小学生を対象に行った『学級集団精神療法』の継続実践研究により、構造的、技術的方法を構成した。その結果、児童・生徒のグループに反応する敏感性とその影響力の大きさに関わる力学への焦点化が、教師によるグループカウンセリングの新たな技法展開を呼ぶものとなり、学会における実践技法の検討(小谷他2001,西村・小谷2003)、教師によるグループカウンセリングのトレーニング法の展開へと導かれた(中川・西村2003,西村・2003)。 3)に関しては、教師を技術習得の場に導き、かつ相互に支え合い技術を高めるサポートグループの必要性を知らしめるというより大きな課題がこれより先にあることを痛感し、改めて現代の児童・生徒を理解するための人格理論および心理学的メカニズムを整理し、問題基盤の理解を共有する作業へと課題をシフトした。児童・生徒のキレる問題を軸に、その問題の荒れと収束の時期である青年期にまず焦点を当て、人格理論の整備から入り(小谷2002)、集中的な心理教育的グループ処方の構成と実験観察を繰り返し(小谷他2001、西川・西村2003)、具体的な収束の流れを生む力学を示した。その上で教師が心理教育を押し進める理論と技能を身につけるための展望を、将来のマニュアル作成を見込んで行った(小谷2002)。
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