説得的メッセージの情報処理における自動的処理と統制的処理に関わる文献および感情と情報処理方略に関する文献を検討の上、以下の作業を行った。 主に書籍の執筆2件、海外研究1件、学会での活動1件、尺度の構成2件である。 1.2001年8月16日より渡米し、ワシントン大学のGreenwald教授の画像提示プログラムについて学習を行い、プログラムのインストールを行った。 2.ビデオおよびエアチェックにより刺激材料となり得る画像を収集した。 3.11月7日に日本心理学会において、感情と情報処理スタイルのワークショップを催し、議論を行い知見を深めた。さらにこれを契機に幾人かの研究者と情報交換を行った。講演に来日していたGordon Bower教授にも感情と情報処理についてさまざまな質問を行い、意見交換した。 4.以上の検討から情報処理のスタイルの2種として、自動的処理-統制的処理の他、同化的処理と調節的処理、また、一般的知識構造への依存と刺激への注意などの考え方が有効な検討材料として得られた。 5.感情改善傾向の個人差を測定する質問紙を構成し、予備調査を行った。 6.認知欲求の尺度について検討を行い、それを発展させた多面的思考尺度を開発し、項目分析を行った。基準関連妥当性の検討に、帰属的思考との相関を調べたところ、多面的思考傾向の低い者は、遂行結果の原因を他者のせいにする傾向を見出し、妥当性が得られた。 7.以上の質問紙の予備調査から、尺度を改善、修正をすすめている。 8.研究の過程で知見が深まった感情と情報処理方略について、その成果を書籍の1章、「社会的認知と感情、動機づけ」に著した。 9.さらなる次の成果を執筆するために、「認知の社会心理学」という書籍の出版企画を行い、編者として編集を開始し、「感情と認知」の章の執筆を行っている。
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