研究課題/領域番号 |
13610188
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮内 泰介 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50222328)
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研究分担者 |
白川 千尋 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60319994)
塩田 光喜 アジア経済研究所, 地域研究第一部, 研究員
関根 久雄 筑波大学, 社会科学系, 講師 (60283462)
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キーワード | 民族 / 民族紛争 / メラネシア / ソロモン諸島 / バヌアツ / 生活戦略 / 開発社会学 / 文化人類学 |
研究概要 |
本研究では、近年続発しているメラネシア地域の紛争に関し、とくに住民の生活との関連について、開発杜会学および開発人類学的観点から分析を加えることを目的に置いた。その結果、以下の諸点が明らかになった。(1)ソロモン諸島においては、紛争の舞台になったガダルカナル島のどこにどういう経緯で生活を営んでいたかによって、その被害の遭いかたに大きな相違があることが明らかになった。もっとも大きな被害に遭ったのは、ホニアラ郊外に土地を購入していた他島民(主にマライタ島民)である。マライタ島民は、ホニアラの町へのアクセスと村のサブシステンス経済の両方を得る戦略として土地購入をしていたが、この戦略は紛争によって挫折した。(2)ソロモン諸島においては、民族紛争が集団範疇(とくにクラン)の固定化の作用をもたらし、それが人々の生活戦略にまで影響を及ぼしている。たとえばマライタ島では、自分たちのクランの土地に移住しようという志向が強まっており、そのことが、人々の生活に不安定さをもたらしている。(3)そうした中、ソロモン諸島では、民族紛争の反省から、職のない若者たちの再教育の試みなど、社会的なコンフリクトを生む温床の低減への試みがいくつか登場している。(4)一方、表面的に民族紛争のないバヌアツにおいても、その萌芽は存在しており、それはポートヴィラの土地をめぐる民族集団間の葛藤であるが、この葛藤は、複雑な歴史的経緯と現代的な問題がもつれ合う中で存在している。
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