研究課題/領域番号 |
13610192
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
千葉 悦子 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30217244)
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研究分担者 |
井腰 圭介 帝京科学大学, 理工学部, 助教授 (50222914)
坂西 友秀 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30165063)
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キーワード | 結婚 / 農村家族 / 地域社会 / アイルランド / リスドンバーナー / ジェンダー / マッチメーカー |
研究概要 |
本年度は初年度調査を踏まえて、本格的な調査を実施した。主な調査として、1.リスドンバーナーのフェステイバル参加者男女のヒアリング、2.フェステイバルの立役者のひとりであり、長いことリスドンバーナー周辺でマッチメーカーを続けてきたウイリー・デイリーへのインタビュー、3.未婚男性ファーマーのヒアリング、4.ゴールウェー大学の女性センターでのヒアリング(農村地域の女性の実態)、ダブリン大学でのヒアリング(農村女性の実態、農村・農業の法制度)、及び農民連盟でのヒアリング(農村女性にたいする政策)5.資料・文献の収集等を行った。 目下、ヒアリングや資料・文献の整理を行っている途上だが、次のようなことが明らかになりつつある。1.リスドンバーナーのフェステイバルは、男女の出会いの場として有効に機能しており、同時に地域の活性化にもつながっていること、2.「結婚難」は移民・出稼ぎ等の国外流出等の歴史的背景によるところがあり、農村特有のものではない。土地をもつファーマーはむしろ魅力的存在であったと推測されること。3.しかし、EU統合は中小規模の農業経営に大きな打撃を与えており、ファーマーは以前ほど魅力的な存在ではなくなってきている。とくに小土地所有者の多いアイルランド西部は、配偶者を見つけるには相対的に不利であると推測されること。4.機械化農業で男性1人で農業を営む経営体が多い。このことは女性が農業に主体的に関わる場面が少ないことを意味している。農業者の経済的地位が相対的に低下しつつある今日、こうしたことが女性の結婚選択にある影響を及ぼしていると考えられる。5.カソリッグが多数を占め、中絶や離婚を許容しない社会通念が根強いが、最近、離婚が法的に認められるなど、家族や結婚に対する規範意識が変わりつつあると思われる。このことが農村における結婚事情にも影響を与えつつあると思われる。最終年は残された研究課題を進めつつ、研究の総括を行う。
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