研究課題/領域番号 |
13610192
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
千葉 悦子 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30217244)
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研究分担者 |
井腰 圭介 帝京科学大学, 理工学部, 助教授 (50222914)
坂西 友秀 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30165063)
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キーワード | 結婚 / 青年 / 地域社会 / 女性 / 韓国 / アイルランド / ジェンダー / ネットワーク |
研究概要 |
本研究は農村の結婚難の社会的要因、及び打開策を地域社会・生活構造分析からの農村の結婚難に関する国際比較究をとおして明らかにすることを目的としている。1年目及び2年目はアイルランドとイギリスの農村結婚事情の資料・文献の収集、及び関連機関へのヒアリングや農村青年へのインタビュー調査を行った。その結果、農村の結婚難は経営条件によって異なることをまず掴んだ。つまり、イングランドでは、農業経営者は都市女性にとって魅力的な存在であった。他方、スコットランド等の条件不利地域では農村の結婚難は深刻だった。若い女性たちの農外流出の背後には、農業機械化によるモノカルチャー的な畜産経営が女性労働力を排除し、女性の居場所を失わせていったことを明らかにした。また、アイルランド西部のリスドンバーナのマッチメイキングフェスティバルは、日本の集団見合いとは異なって、世代を超えた交洗空間を作り出し、しかも地域経済を潤しており、学ぶべき点が多かった。 最終年度の今年度は、日本と重なる点の多い東アジアの農村結婚事情を把握することは欠かせないと判断し、韓国農村の調査を行った。急速な近代化、都市化を推進してきた韓国では、若年層の都市部への流出が激しく、農業に従事する青年たちは社会的孤立化を深めていた。また、10年前には農協や農業団体で盛んに行われていた出会いのイベントは影をひそめ、民間結婚相談所へ入会する青年が増えていた。中国やベトナム女性との国際結婚も増えている。廃業青年を支える地域社会のネットワークや地方自治体の役割が重要であることが、韓国の実情から逆に見えてきた。女性たちのネットワーク化を行政施策として進めている福島県飯館村の取り組みを補足的に調査し、あらためて確認した。土地所有制度や家族制度の違いを踏まえつつ、地域社会と青年・ジェンダーという視点から新たな論点を提示する。
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