研究概要 |
(1)平成13年度調査地域と調査法 13年度は北海道深川市,ニセコ町,岩手県北上市,東和町,そして街づくりを比較するために宇都宮市の中心市街地の空洞化問題を調査した。調査方法は主としてインテンシブ・ヒアリングと関連する資料収集,それらの分析である。 (2)平成13年度の研究成果 1)前記した地域において共通して摘出できる要素は、地域経済がマイナス成長している点である。産業構造の相違によりグローバリゼーションの影響において濃淡はあるが,工業都市北上は東アジアへの工場移転,企業立地のストップ等で大きな影響が生じている。 2)全体的に産業のマイナス成長→労働市場の縮小→人口減→高齢化・少子化の進展が顕著である。地域にとっての負の連鎖系が常態化しつつあることを検証した。 3)このような事態は中心市街地商店街の空洞化を引き起している。宇都宮市は大規模店との競争、モータリゼーションが規定要因であるが,他の中小都市は消費人口の減少が直接的な要因である。 4)地域の再生産構造が縮少している中で、その連鎖を断ち切ろうとする様々の街づくりの試みが取り組まれている。今回の調査課題である「市民参加」の実態は、調査地域で多様な方法で採用されている。とりわけニセコ町の街づくりのための情報「共有」をキー・ワードとした条例の制定,町民が街づくりに参加する権利を行政が保障する「まちづくり条例」の制定等で,ニセコ町は全国的には最も先進的な地域として位置づけられる。水準(市民参加の)において高低はあるが,中小都市は転換期に直面している。
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