本研究が追究した課題は、(1)教師の学級指導メッセージの収集と分析、(2)学級関係改善システムの構築、(3)学級関係改善プログラムの作成、および(4)教師の専門性、教育実践力の機能と内容を明確にすることであった。 (1)教師の学級指導メッセージの収集と分析。 ・学級指導メッセージは、4つの領域(ほめる-叱る、トラブル、45分授業、諸課題)で、6000ケース以上収集した。 ・高度な教育実践力をもつ教師の授業のビデオ録画分析は、21ケース実施した。 ・郵送調査(2回600名)とインタビュー調査(60名)を実施した。 (2)学級関係改善システムの構築 ・現職の小学校教師を対象に「学級関係改善研究パートナー」を募集し、「長崎学級関係改善研究会』を年1回計3回開催した。パートナーは、26名以上にはならず、また、頻繁に実践交流できたのは5名だけで、課題を残した。 (3)学級関係改善プログラムの作成 ・「子どものけんかと勝負なし法(Win-Win)」プログラム、「教室掃除とコミュニケーション対話」プログラムを作成し、現場での実践を提起したが、教師と児童の対話を特徴とするコミュニケーション型のプログラムのむずかしさ、また、突発的に起こることへの対処は教師の訓練が不可欠となることが明らかになった。 (4)教師を専門技術職と性格規定し、学級指導メッセージ研究の意味と方法について検討した。
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