研究概要 |
米国の「家族保全」の実践には2つの側面がある。1つは児童虐待家族等のような複合問題家族対象の短期集中型援助方法・技法として展開する場面と、2つにはこの考えかたを導入する側面とである。本研究では、後者から始めた。調査対象フィールドを人口は、302,368人、児童人口57,492人のS県K市に設定した。この市内には、行政や市社協の相談窓口を始め、児童相談所、保健所、教育相談所、少年サポートセンターと多種の相談機関の窓口がある一方、幼児の育児支援としてファミリー・サポート・センターも導入されていることで児童・家族支援の在宅型サービス展開の視点から調査するのに適していると考えた。予備調査でこのような相談窓口10ヶ所にヒアリングを実施し、これらの窓口の機能状況を把握した。 次に調査対象児童・家族を乳幼児と低学年児童をもつ家族に焦点を合わせ「家族支援」の状況を把握するために目下育児支援を展開している保育所、ボランティア団体、保健センター、小学校を利用している家族とそれを支援するボランティア、専門家の7グループにグループインタビューを実施し、そのデータをもとに「家族支援ニーズ調査」を実施した。グループインタビューについてはまだ継続中であり、数量調査についてはその集計が始まったところである。 K市は、かっては農業を中心とした田園地帯であったが、昭和40年以降、東京大都市圏の近郊ベットタウンとして人口が急増した。新住民や大都市圏へ通勤する住民も多い。これまでの調査研究から郊外型都市住民の医療・保健、教育、福祉分野の児童・家族支援ニーズの特徴が見えてきている。
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