(1)「コミュニティFM放送局の全国的展開と北海道の位置」(『社会情報』NO12.VOL2)において、コミュニティFMの二極化傾向と北海道におけるコミュニティFMの特徴について指摘した。二極化傾向とは、コミュニティFMの運営を専任スタッフ主体で行うラジオ局と多数のボランティアを巻き込んで行うラジオ局への二極化である。 (2)地域づくりやパブリック・アクセスを進める視点にたつと、ボランティアを巻き込んだラジオ局には、大きな役割が期待される。しかし、一方では専任スタッフ化の動きも顕著にみられる。なぜ、そうした事態が生じるのかを、放送ボランティアのサイドと放送局のサイドからアプローチすることで明らかにしてみた。放送ボランティアに関しては「FMはなます」(岩見沢市)を支えるボランティア・グループ「オニオン合衆国」に焦点を当てて調査を行い、市民が放送ボランティアに参加することの意義を明らかにした。放送局サイドに関しては、北海道の各放送局の実態をもとにボランティアを巻き込むことのメリットとディメリットについて考えてみた。これらの結果に関しては、「コミュニティFM放送局における放送ボランティアの位置と経営問題」(『社会情報』NO13.VOL2)としてまとめている。 (3)また、SIP(標茶インターネットプロジェクト)を中心とした調査研究を継続して行った。SIPは、数年前にNPO法人化し、行政と一定の距離をおいて新しい活動の段階に入っている。プロバイダー事業も10年を経過し、地域の中に確実に根を下ろす活動となっている。
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