1.全国のコミュニティFM放送局を対象に、放送局を支えるスタッフにみる二極化傾向について明らかにした。二極化傾向とは、放送局の運営を専任スタッフ中心に行うラジオ局と多数のボランティアを巻き込んで行うラジオ局への二極化である。地域づくりやパブリックアクセスの視点にたつと、後者のボランティアを巻き込んだ放送局の方が大きな役割が期待される。しかし、一方では専任スタッフ化の動きも顕著である。なぜ、そうした事態が生じるのかを明らかにした。 2.北海道は全国の10分の1以上の放送局が存在しており、「コミュニティFM王国」とも言われる。なぜ、北海道に多いのか。コミュニティFM放送局が北海道に適したメディアであることを、北海道という地域の特徴をふまえて分析している。 3.放送ボランティアに関しては、岩見沢市の「FMはまなす」を支えるボランティア・グループ「オニオン合衆国」を対象に調査を行い、市民が放送ボランティアに参加することの意義を明らかにした。自らが情報を発信する主体となることで、様々な情報に敏感になり、とりわけ自分の住んでいる地域への関心を高め、地域への批判力が養われていた。 4.防災という視点からコミュニティFM放送局の役割についても検討した。対象は、有珠山噴火後に開局された災害FM放送局レイクトピアのである。放送は2000年5月8目から2001年3月31日までの約11カ月間である。関係者への聞き取りを行い、経験を記録し、問題点と課題の整理を試みた。
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