研究課題/領域番号 |
13610223
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
熊田 俊郎 駿河台大学, 法学部, 教授 (10195521)
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研究分担者 |
田中 重好 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50155131)
藤田 弘夫 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (60156875)
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キーワード | 国際研究者交流 / 中国 / 都市空間 / 社会主義市場経済 / 社区 |
研究概要 |
市場経済にともなう社会組織と空間構造の関係について、次のような知見が得られた。 都市部の最末端自治組織として居民委員会があり、全国的にこの居民季員会を社区に再編成している。北京では従来の居民委員会の2,3倍の規模の社区居民委員会へと再編成されほぼこの作業が終わっている。その背景は次のように考えられる。従来の社会主義経済の下で国有企業を中心に企業は「単位」と呼ばれる社会保障や教育など包括的な機能を有していた。中国はWTO加盟を果たし、国内産業の競争力強化を迫られており、そのため単位から社会保障などを切り離そうとしている。従来居民委員会は地区内の単位とは無関係であった。その居民委員会を社会保障などを担う社区へと編成しなおしてその受け皿としようとしている。この過程で社区を行政末端化する傾向も見られる。しかし単位の社区への関与は限定的なものであり、今後の動向に注視する必要がある。つぎに住宅の配分原理が大きく変化している。かつて単位が所有していて使用権を配分していたものを「商品房」として単位の成員に分譲するなど急激に不動産の私有化が進んでいる。不動産関係法規整備など市場の整備は進んだが、旧所有者である単位と個人の関係など市場外的要素も大きく、資料を収集して分析中である。市場経済による目立った変化としては、流動人口の増加とその集住があげられる。都市政策上流入抑制的政策をとっている。しかしかつての戸籍制度のように厳格な制度による人口流動抑制が不可能な社会になっている。また本年度中に北京における2008年オリンピック開催が決定した。東京やソウルがそうであったようにインフラ整備や空間についての変更があるかと思われるが、本年度中に直接オリンピックによる効果と考えられる目だった変化は見られなかった。今後オリンピック準備が本格化した段階でどのような変化が見られるか興味がもたれるところである。
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