1.多文化主義およびパリテと「共和制モデル」との関係の明確化 (1)多文化主義の研究については、新たな研究書・論文の入手とその検討を通して、さらに発展させる計画であった。この点については、パリのCIEMI(国際移民情報研究センター)図書館での分権複写をとおして継続実施中である。(2)パリテについては、パリテに関する仏書などを購入し、その内容の検討を進めているところである。また、パリテが議会で検討され始めた1990年代以降の『ルモンド』『リベラシオン』『ルポワン』各紙のCD-ROMを購入し、パリテをめぐる言説内容の検討を進めているところである。 2.パポン裁判における共和制をめぐる言説の分析 (1)パポン裁判の傍聴日記や研究書などを購入する計画であった。この点については、裁判関連の仏書を購入し、その検討を進めているところである。(2)言説分析には、パポン自身や証人がいかなる発言を行ったかを知ることが必要であり、裁判記録の閲覧が不可欠であるとして、フランス共和国に調査・研究出張する計画であった。この点については裁判所の裁判記録の閲覧は困難であることが判明した。そのため、ボルドー大学元講師のアンヌ・レーマン氏に依頼し閲覧が実現するよう関係機関へ要請しているところである。閲覧が不可能である場合も、パポンの発言は傍聴日記によってある程度再現可能であるが、原告側の言説は、ユダヤ人団体への聞き取り調査が不可欠となろう。なお、本年度においては必要文献の購入・複写のほかには、パポン裁判の記録の閲覧を中心とした。しかし、閲覧が実現しなかったことなどもあり、研究成果を論文として発表するまでにはいたらなかった。次年度以降、順次発表の予定である。
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