市民・行政・企業の出会いの場である「公共的空間」を探る調査は、今年度は「市民共同発電所フォーラム」に参加することから始めた。「研究の目的」にも書いたように、現在われわれが目指す方向は、地球環境システムという限界の中で廃棄・処分を中心に社会を組み立てていくことである。そのためにはエネルギーも、できるだけ身近な自然から分散的に供給する必要がある。フォーラムでは、その可能性を風力発電や太陽光発電、市町村レベルでのエコタウンへの取り組みの中に見ることが出来た。 続いて軽井沢でのNPO合宿では、地域での「公共的空間」づくりとして、インターンシップを中心に市民・行政・企業に大学を加えて、生涯学習のプラットフォームづくりをしている例を見た。また靹の浦調査では、靹の歴史的町並み保全と靹港の修復を進める側と靹港埋立と新道路建設を進める側とに分かれ、拮抗する二つの「公共的空間」があることを見た。 一方地域での「公共的空間」づくりの具体例として、市民・行政・企業のパートナーシップによる地域再興をめざしている「グラウンドワーク」がある。その日本での先進地である三島市を訪れ、さらにその担い手である「グラウンドワーク三島」が企画したイギリスのグラウンドワーク調査に参加し、地域でのグラウンドワーク活動の実際と行政の対応、その中には「パートナーシップ課」という部局まで置かれている例もあることを知った。 調査の締めくくりとして、県レベルでネットワーク形成により「公共的空間」づくりを目指している「長野県NPOセンター」と、市レベルで地域づくりを目指している「奈良まちづくりセンター」を調査した。さらにこれら以外に、全国のNPOサポートセンターの動向、ナショナルトラストによるまちづくりの具体例なども調査している。以上から、「公共的空間」づくりはNPOサポートセンターの活動と密接な関係があることが見えてきた。
|