研究概要 |
当該研究の目的を遂行するために、昨年度まで国内、北米、フランス、モンゴル、中国という地域を選び比較調査のための基礎資料を集めてきた。今年度はモンゴルの補充調査を実施するとともに、研究全体の取りまとめ、ならびに学会などにおける研究報告、論文執筆に時間を割いた。 昨年度までモンゴルの都市域における近代化による生活変容と葬儀の変化についての資料を集めてきたが、2004年夏にあらたな動きとしてウランバートル市郊外に火葬場が建設されたため、7月29日から8月4日にかけて補充調査を実施した。その結果、都市富裕層が新たな葬儀様式を受容し始めていることが確認された。今後、葬儀組織の変容、葬儀サービスの利用など新しい動きが引き起こされていくと考えられる。 近代化の途上にあるモンゴル社会、一定の近代化を遂げている日本、フランス、商業主義と結びついた近代化の最先端を行くアメリカ合衆国という流れで、葬儀が社会の近代化とどのように結びついているのか、当該研究の大まかな見通しが確認できたのが今年度の大きな収穫である。 以上を踏まえて今年度は次のような学会、シンポジウムなどで研究成果の発表を行った。 2004年5月16日・日本法社会学会学術大会(於立命館大学)・シンポジウム「死の儀礼と法」、「社会的行為としての死者の追悼」、10月22日・日仏学術シンポジウム(於 EHESS, Paris)"Les mortset l'espace public"、11月13日・日仏社会学会大会(於創価大学)・「葬儀と社会的記憶-フランスにおける二つの葬儀から-」。 別記の通り、これらの知見は雑誌論文などで逐次公刊されると同時に、現在基礎資料と共に「科学研究費研究成果報告書」として取りまとめられた。
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