本研究は、文化価値の相対的自律性、民衆文化の強化・育成、民衆文化の表出としての織物に注目する。「住民たちがこれこそ自ら住む世界だと考えている地域範囲」(世界単位論)としての地域研究の可能性を考察する。中東地域のイスラム原理主義による「社会サービスの提供、アフリカのキリスト教原理主義が示す物質主義的な「繁栄の福音書」と西アフリカのアフマディ派、ラテンアメリカ地域のペルーで活動するプロテスタント教会、セブンスデー・アドベンチスト運動などの福祉活動を整理した。また、民衆文化の強化・育成に関しては、アジア地域における影絵や民衆劇に注目しつつ、二つの文化の出会いに関して整理した。 ローカルな場である民衆レベルやコミュニティ・レベルにおいて進められている民族的個性を志向する動き、例えば、民衆の集まる祭りで演じられ民衆の娯楽であった各種の劇(人形劇や通常の劇)や、武器保持を公的に禁じられた民衆が抵抗のために密かに準備した肉体訓練などの動きを、横断的に検討し、グローバリゼーションの浸透へのローカルな場での文化対応にみられる「国境を越えた」リージョナルな広がりを整理を試みた。グローバリゼーションに直面し第三世界の社会が選択したローカルな対応と、国境策定以前に存在したリージョナルなつながりの再浮上を確認できると考えている。
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