ポップカルチャーを搬送する多様なキャリア群にあって、女性ファッション誌の有する特異な立場を踏まえ、プロテストとヘゲモニーの視角から、この文化現象を捉えることは社会学的に大変有意義かつ有意味であり、本研究成果報告書では、特に、その分析に照準を絞った。 近年、書籍媒体が退潮する中で、ファッション誌のみがその存在感をアピールし、若年層女性にあっては甚大なる培養効果を発揮している。若年層女性における2次的社会化の枢要媒体に係わる文化的ヘゲモニーの構造的把握と、その逆転を示唆するプロテストの萌芽を、キャリア群のサンプリングから論を起こし、ファッション誌受容度の分析に繋げ、代表的アイコンとしての表紙モデルおよび表紙コピーのプール代数分析を利用した数理的定式化によって結論することが、研究成果報告書の梗概である。 先ず、サンプリングにおいては、販売係数を利用することで販売部数推定値を算出し、これをABC公査部数と併用し、有意抽出のための具体的なキャリア群リストを提案した。次に、ファッション誌受容度を、学校読書調査データセットについて、単一時点複数年齢コーホート、複数時点同一年齢コーホート、複数時点同一出生コーホートといった3つの視角から分析し、10代読者におけるトップキャリアとメガキャリアの評価を行なった。最後に、結論として、ハイティーン後期のトップキャリアである『non-no』の表紙アイコンにおけるヘゲモニーシフト(ヘゲモニー逆転現象)を説明するための厳密関数と近似関数(および補集合)を設定し、プール代数分析を通じて、それらに係わる厳密命題と近似命題(および補集合)を導出した。
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