研究概要 |
(1)本年度当初、シュッツの遺児(エヴェリン・S・ラング)から本研究プロジェクトのために新たに提供されたシュッツの蔵書への「書き込み」を、昨年度の手順に従って解読、タイプ化、マイクロフィルム化する作業を行った。 (2)シュッツが書き込みを入れている146冊のすべてを点検し、その「書き込み」の量と質の両側面に着目しながら、5段階に分けたリストを作成した。 (3)そのリストに、(1)「早稲田シュッツ文庫」所蔵のニュー・スクールにおけるシュッツの講義ノートを点検しながら、当該書籍への言及の在り方に関する情報を拾い出し、さらに、(2)刊行されているシュッツの諸論稿における当該書籍への言及の在り方に関する情報をもすべて拾い出し、それらを付け加えたより利用価値の高いリストを作成した。この作業は、早稲田大学大学院文学研究科所属の大学院生の協力のもとに行われた。 (4)それらの基礎資料は、研究分担者と海外共同研究者にも、それぞれがシュッツの「書き込み」について、それが書き込まれている原著書と付き合わせながら探究を進めていく上での参考資料として配布した。 (5)研究代表者は、本研究プロジェクトによる成果をひとつの論文にまとめ、それを8月にシカゴで開催されたアメリカ社会学会年次大会のSpecial Session,"Alfred Schutz's Contributions to Sociology"において、"A Reconsideration of the Intellectual 'Dialogue' between Alfred Schutz and Talcott Parsons"という標題で、本研究プロジェクトを紹介し、その研究成果の一部を公表した。 (6)またその報告原稿は、その大会での議論を踏まえながら報告者自身が加筆修正したうえで日本語に翻訳し、『社会学年誌』誌上で公刊した。 (7)海外共同研究者が一堂に会する学会が開催されたプラハに研究代表者も出かけ、そこで研究の進捗状況について、ならびに2004年4月に開催予定の本研究プロジェクトに基づく国際会議で取り上げるべきシュッツのアカデミック・パートナーについて、意見交換を行った。
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