二年目にあたる本年度は、前年度に収集した内外のマックス・ヴェーバーにかんする二次文献の書誌情報を精査し、より完全な文献目録を作成することを目標に、作業を進めた。その間、あらたな文献目録の発見もあり、作業は大きく進展した。外国の文献については、テユービンゲン大学のコンスタンツ・ザイファート教授が中心となって、文献目録を作成している。また初年度同様、東洋大学非常勤講師・三笘利幸氏の協力によって、日本におけるヴェーバー受容の最初期の段階にあたる文献の収集において、飛躍的な成果がみられた。 近年のヴェーバー研究では、「ヴェーバー・ルネサンス」と呼ばれた15〜20年前に比べると、時代を画す重要な業績は、国の内外を問わず現れていない。しかし『マックス・ヴェーバー全集(Max Weber Gesamtausgabe)』の刊行が着々と進みつつある現在、専門的文献研究においては着実な前進が見られると言ってよいだろう。いずれ、こうした地道な研究の積み重ねが開花する日が期待されるならば、この数年は過渡期といえるのかもしれない。新たな世代の研究者の活躍も、目立ってきている。 しかし、ヴェーバーが残した研究領域の広さから言うと、ヒンズー教研究やロシア革命研究など、専門的ヴェーバー研究者には省みられることの少ない研究領域も、まだまだ存在する。こうした分野におけるヴェーバーの業績が正当に評価されるには、ヴェーバーのテキストの専門家内部だけではなく、それぞれの分野での研究の最前線に通暁した研究者との知的交流がますます必要であることを、痛感させられる。
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