研究概要 |
介護保険制度の導入のなかで,一方では痴呆介護対策が重視されるなかで,他方では介護保険制度の恩恵を十分に受ける仕組みにはなっていない現状にある.とくに訪問介護と通所介護の組み合わせによるケアプランの作成は不十分な状況となっている(痴呆高齢者へのケアプラン調査4自治体).事例的ではあるが,痴呆対応のコミュニティケアの推進を模索する自治体についての訪問・ヒアリング調査を実施した.都市部では町田市,武蔵野市,水俣市,高浜市,美濃加茂市,彦根市,笠岡市,八日市市,名張市,上野市,町村部では水口町,真田町,壬生町,桃生町である.ヒアリング調査を通して,多くのところで痴呆介護施策で注目できるものの,住民参加と介護エリアの設定の面で本格調査を実施する地域としては,町田市,武蔵野市,高浜市,水口町,真田町,桃生町の6カ所が適当と判断した.痴呆対応のコミュニティケア実践として宅老所・グループホームの取り組みについてはこれら自治体以外にも多くの地域で取り組まれている.エリア設定の視点からは,とくに町田市では介護エリアの設定が住民参加の促進とともに推進されているシステムが形成されている点が確認された.住民参加によるNPO法人の立ち上げによる通所介護事業が実施され,地域密着型の事業展開が取り組まれている.その方式も多様な形態をとっている.また桃生町では,分散型(エリア設定)の痴呆対応の小規模ケアホームの計画が検討されており注目される.この方式は,町村部での痴呆対応型コミュニティケアのモデル化が展望できる.なお,海外訪問調査については,年度末にスウェーデン調査を企図している.
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