社会ネットワークのevolving processについて、とくに友人ネットワークの動態分析を理論、実証両面からさぐる研究をおこなった。理論面では、シミュレーション手法を使いながら、友人形成過程モデルの開発、発展を行なった。とくに、オランダの共同研究者とおこなってきた、情報の不確実な状況下でのネットワーク形成のシミュレーション分析にかんして、甲南大学紀要に「不完全情報下におけるネットワーク形成」として、論文を仕上げた。 実証面では、モデルのいくつかのパラメータ推定のためのデータ収集を、日本、オランダではすでに行っているが、そのデータの分析をおこない、国際学会で報告する準備ができた。 ネットワークの生成にかかわる基礎研究は、今後のさまざまな形でのネットワーク分析の基盤を構成し、さらにはそのための基礎資料としての「データ収集」は必須である。今回フランスの研究者も加わり、3国間の比較研究が実ればネットワーク動態研究の飛躍的な発展が期待される。大学の新入生にたいして10ヵ月間にわたる友人形成にかかわる継続(longitudinal)調査を実施しており、そのデータ分析を実施し、日本、オランダ、フランスのデータ間比較を行う準備ができた。
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