本科学研究費による研究は、2001年に開始され3年間にわたるものであった。1995年以来、オランダの研究者との協同研究で、「友人のネットワーク」を理論的・経験的分析を行ってきている。理論的には、evolving process of friendshipの解明のためのシミュレーション・モデルの開発を、実証的には、両国での大学生の友人形成にかんする縦断的調査を実施して、それを分析してきている。 2001年以降の3年間の研究の目的は、これまで行ってきた研究の更なる展開であり、理論的には、これらの研究は「不完全情報下のネットワーク形成」であり、これは『甲南大学研究紀要』2002として、結実している。これはオランダ、グロニゲン大学の協同研究者・F.Stokman教授、E.Zeggelinkらとの研究の成果を、筆者の責任で論文にしたものである。 実証面では、オランダ、日本の大学生に対する縦断的調査(dynamic research)であり、これは2002年の国際社会ネットワーク学会「INSNA」での協同報告、そして「類は友を呼ぶ?」という論文(甲南大学紀要、2003)に結実している。これは、協同研究の1つの区切りとして、とくに日本の大学生を中心にして、筆者の責任でまとめたものである。これは、さらに2004年5月のINSNA XXV(スロベニア)において、2時点の日本のデータの変化について報告の予定である。さらに、こうした「whole network」研究だけでなく、「personal network」についても研究を続けている。これは、「パーソナル・ネットワークの分析-甲南大学生の場合-」(甲南大学紀要2004)という形で結実することになっている。さらに、この研究で、「ネットワークとコミュニティ」という方向でも発展している。
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