研究概要 |
1.数量的分析では、援助内容データベース構築に向けての作業として、第一に基礎項目の中の主訴・紹介理由の分類・診断名・医学的状況の分類を行ない、第二に日報記録データベースをケースごとに集計処理し、援助形態の指標となる、要素の抽出を行なった。次に、以上二つのデータベースをリンクさせることによって援助内容データベースの基礎づくりを行なった。 2.事例分析では、援助中断による問題についての事例分析の結果、退院後、情報の取捨選択によって落ち着く生活の仕方が個々に異なり、情報源の不足、制度活用の漏れ、孤立等が起こり,ストレスの蓄積からくる家族関係・母子関係の悪化等が生じ、社会的状況を悪化させてしまうことがわかった。この状況変化が生じている時にソーシャルワーカーと関わる機会が希薄であるため、状況変化を予測し、時期のタイミングを逃さず関わるためには、変化のタイミングに関わる機会をプログラムとして仕組む必要性があるという結果が得られた。 3.グラウンデッド・セオリーアプローチによる分析をさらにすすめ、母を起点とした子育て行為の全体像について仮説を作成した。母を起点とした子育て生活は、母を起点とした行為に着目すると、(1)母自身に向かう行為,(2)子どもに向かう行為、(3)他者に向かう行為、(4)母と子どもの両者のセットに対して向かう行為で成り立っており、母を起点とした子育て生活とは、「不安と対処のくり返し:子どもに向かう行為」と同時に「母と子どもとの生活バランスへの模索:母と子どもの両者のセットに対して向かう行為」を続けていくプロセスであることが明らかになった。 数量的な分析、事例分析、グラウンデッド・セオリーによる分析から、ソーシャルワークの介入時期は子どもの状況変化と、母の状況変化と、サポーターの状況変化と、予測可能な必然的状況変化の4つの変化の時点が介入のポイントであることが判明した。 以上の知見をもとに、新生児集中治療室入院患児・家族へのソーシャルワークプログラムモデルを仮説として作成した。
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