平成13年度は、原爆、ヒロシマ、ナガサキに関連して作成され市販されている一般映画、アニメ作品、さらには10フィート運動などで製作された平和を啓発するためのドキュメンタリー、過去にテレビ放映され現在入手可能なドキュメンタリーなどを可能な限り収集した。一方、平和問題関連文献も収集した。映像を概観したうえで、現代の若い世代が、過去の被爆映画をどのように見て、印象、感想、意見、批判などをどのように構築していくのかを調査するために、1950年代の体表的な映画を中心に「原爆の子」(新藤兼人監督)、「ひろしま」(関川秀雄監督)、「ゴジラ」(本多猪四郎監督)、「はだしのゲン」(アニメ)、「黒い雨」(今村昌平監督)の5作品を選定した。秋から冬にかけて、感想などをできるだけ言葉で表現し得る学生に協力を得て5作品をめぐる感想レポートを収集した。このレポートは若い世代の感想を読み解くデータとなるとともに、どのようにヒロシマ、原爆、平和などのテーマを関連づけ推論し、自らの考えを説明していくのかを解剖するエスノメソドロジー的解読のデータとなる。この解読は時間がかかり、14年度に集中して解読を実施する予定である。こうした調査と平行して、とりあげた作品だけでなく、原爆をめぐる映画が映画評論誌などでどのように取り上げられ、当時どのような評価を受けていたのかなどを調べるために、該当する資料を収集した。14年度は、こうした資料収集・解読を継続するとともに、NHKなど地元広島での放送局を訪ね、「ヒロシマ」をめぐる番組放映の変遷やその特徴を集中して調べ、さきに学生レポート解読とあわせて、映画・映像に見る「ヒロシマ」表現の解読と、戦後から現在にいたる、その変遷をさらに調査する予定である。
|