研究概要 |
本研究の目的は、2年間で介護老人保健施設(介護保険法第94号)に限定し、全国500ヶ所を対象に、施設入所者の死亡状況及び終末ケアの介護状況の調査を行うことである。研究助成1年目は、終末ケアに関する先行研究の整理と、アンケートの基本的枠組の検討を行った。特に平成12年度4月実施の介護保険前と後において、施設の機能及び終末ケアの状況変化について静岡県内の介護老人保健施設を対象に寮母等に対して聞き取り調査を実施した。その結果、基本的には従前の老人保健法下における老人保健施設の機能と大きく変化した様子はみられなかった。つまり運営四原則である、「1,老人の自立を支援し、2,その家庭への復帰を目指していること 3,明るく家庭的な雰囲気を有していること 4,地域や家庭との結び付きを重視していること」である。従前は在宅療養支援機能を果たす働きとして「短期入所ケア」と「老人保健施設デイ・ケア」を併せていたが、介護保険下ではそれぞれ「短期入所療養介護」と「通所リハビリテーション」と名称が変った。つまり施設(入所)サービス、短期入所療養介護サービスと通所リハビリテーションサービスの3つが機能している。この関係のなかで、施設での死亡状況は、特養に比べ看護・医学的管理の下における介護が実施されているため、(1)施設内で死亡する者、(2)連携の病院へ移され、死亡する者の二類形が明確になった。また、介護保険施行前の中間的機能面では、今日なお施設が終末の場となったいる現状がある。このことは、利用者のADL低下のみならず、家族の受入れが困難な状況が明確に現れている。以上のことをふまえ、平成14年度では利用者の施設での入所期間、終末時の立ち会い、施設内死亡の割合及び死因等についてさらに詳しく論究する予定である。
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