平成13年度は主目的の主観的QOL調査を進める為の前提として、以前に「グループホームに住む高齢知的障害者の生活実態及び支援に関する研究(課題番号:09610229)」の中で、客観的QOLを把握する為に実施した施設種別による処遇の比較調査を補完、再整理し、結果の一部を2001年6月の日本老年社会科学会第43回大会、同年7月の日本発達障害学会第36回大会でそれぞれ発表すると共に、「中高齢知的障害者の処遇及び生活実態に関する研究-入所施設とグループホームの比較から」という題目で、研究誌「発達障害研究」に投稿し採択された(第24巻1号掲載予定)。主な結果としては、(1)余暇活動及び心理面での配慮において、グループホームが入所施設を上回っている一方、物理環境整備及び他の目常生活面(入浴・洗濯介助等)での配慮で、入所施設がグループホームを上回っていた。(2)外部援助の導入に関しては、余暇外出と日常生活面で、グループホームが入所施設に比べ積極的であるのに対し、昼間活動面と老人福祉機関紹介面では逆に入所施設が積極的であった。(3)その他の生活実態では、運動習慣、余暇内容、外出の自由度等で居住環境による差が見られ、運動習慣の充実度では入所施設が、余暇内容の豊富さと外出の自由度ではグループホームが入所施設を上回っていた。 知的障害者本人に対する直接面接法による主観的QOL調査に関しては、質問項目を検討し、調査票試案を作成すると共に、質間理解を進める為の補助手段としてピクトグラム(絵カード)を作成し、予備調査を実施した。結果の一部は2002年3月の国際知的障害研究協会の高齢・QOL研究グループ国際会議で発表予定である。次年(最終年)度は予備調査の結果を検討した上で調査票を修正し、本調査に入る予定である。
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