1.近年の北海道における4つの高校統廃合のうちの1つ、名寄地区のケースについて、名寄市教委教育長、下川町教委元教育長、風連町教委教育長、下川町教委元教育長、名寄光凌高校長、美深高校校長、北海道高教組名寄地区支部にヒアリング、資料収集調査を実施した。名寄地区の統廃合も他のケースと同様に、地元で市町村、市町村教育委員会、学校関係者、組合、住民、PTA等を構成員とする協議会が設置され、協議が行われて、統廃合案が実質的に決定された。ここの特徴は、複数の市町村が関わった協議会であり、これが道教委から自立性をもって組織されていたことである。 2.岐阜県における教育改革の実態を調査した。県庁・教育委員会、県教育振興事務所、県立高校、町村教委、県教組、などにヒアリング、資料収集調査を実施した。岐阜県では、地方分権に積極的な知事がおり、積極的な教育改革を実施している。同県では県民各層が参加する審議会があり、県民参加が一定進んでいる。しかし知事と県教委の協議会などのシステムによって、知事主導の教育改革が実施されていた。これは「民主的コントロール」と呼ばれ、素人教育委員による「民衆統制」とは異なる形での住民統制システムが形成されていた。 3.地方独自の教育施策実施に熱心な県(岐阜)では、しかし逆に県内でのトップダウン型教育行政が展開しており、それほど積極的な施策展開が見られない北海道では市町村の発言力に大きいものがあった。後者では、広域性により市町村のもっている位置が相対的に高く、そのために住民意思が一定反映している。都道府県教委・市町村教委関係が都道府県をトップダウン型とボトムアップ型を分けるキーであり、これからの教育改革の重要な視点であることが導き出された。
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