「学校の自律性」に関する先行研究を収集・分析・整理して、現代的課題について明らかにした。これをもとにして、以下の調査を実施した。 アメリカに関しては、1980年代後半以降の校長の役割と力量に関する議論・政策・実際の変遷をたどることを目的として、初年度〜第2年度にかけて、全米初等学校長協会、中等学校長協会、連邦教育省における全米政策に関連する聴き取り調査、およびケンタッキー州における州教育省および学校における聞き取り事例調査、を実施した。アメリカフロリダ州の小学校における学校審議会に関する参観・聞き取り調査を実施した。また、同州のブロワード郡学区で校長養成・研修プログラムの実施を管轄する担当者へのインタビュー調査もあわせて実施した。 日本に関しては、3年間にわたり、国内の数校の学校訪問調査を継続した。うちうち1校ではカリキュラム開発に関連した校内研究の活性化と、そこにおける保護者の参画の事例を確かめ、教員集団を中心的アクターとする学校改善の過程をたどった。また、別の事例では、学校のアカウンタビリティを重視して保護者・地域に情報公開を図りながら連携を強化して学校改善に取り組む姿を明らかにすることができた。また別の事例では、学校評議員制の導入を契機として保護者・地域住民による学校評価を実施することによって学校改善を進めていた。 以上の日米での調査データをもとにして、3年間において、学会での口頭発表2件、学術雑誌論文5件を発表した(印刷中を含む)。
|