研究概要 |
1.昨年度、デジタル化されている全12種の英訳聖書およびラテン語訳聖書(ウルガータ聖書)の中に教育関連語彙の用例を検出し分析したのに続き、本年度は、中心的史料として,本研究の第二の軸になる古代・中世ラテン語文献を収めたCD-ROM (Bibliotheca Teubneriana Latina)の分析に主として従事した。 2.上記作業の結果は,逐一、用例データ・ベースに集積した。 3.一方で、特に17世紀までに刊行された英語出版物の中から、教育関連語彙の系譜上特徴的と思われる教育関通語彙の用例を検出し分析した。また、これまでに西洋教育思想史研究が対象としてきた諸作品中の教育関連語彙を分析し、およびBritish Library蔵書目録データ・ベースの検索によりタイトル中の教育関連語彙使用状況の変遷を把握する作業を行なった。 4.以上の成果を総合して、最終年度たる本年度の最後の課題として、研究成果報告書(全87頁)を作成した。これは全4章および資料編から成るものであり、各章はそれぞれ、14世紀から17世紀までの英語文献の中に教育関連語彙の用例を検出し分析した第1章、英訳聖書およびウルガータの中に"educatio(n)"を跡づけた第2章、古代ラテン語文献の中に"educatio"を分析した第3章、そして古代から近代のライフサイクル思想史の中に"adolescence"・"youth"を辿った第4章、となっている。これによって、"education"の歴史的系譜を英語からラテン語にまで遡って用例の変遷が把握されるようになった。また、"institution"・"adolescence"・"youth"といった語彙についても、同様である。
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