本研究は、総合的学習のカリキュラムの効果に関する資料を、文献と現場での実践記録、そしてインタビューなどによって収集し、ナラティブ・ストーリーとして再構成することによって、因果関連性を探究した。和書、洋書を含めてこのような方向性を持った先行研究をまとめ、学習効果というものを個人史的な発達構造転換として把握する枠組みを構築した。その枠組みにおいては、個人史的な構造が、単に基本的なスキルや暗記的な知識の量によるものではなく、理解や思考の構造、そして、原理応用の力など多様な能力とさらには、能動的な態度に関わる指標などが抽出されることが明確になった。このような枠組みの中で、資料を整理し、構造化をはかった。その結果、総合学習の効果の多様性、そして標準化された学力発達に与える影響などについて多角的な視点を持つことが可能になった。研究の過程途上において、成果をまとめることができた部分について、少しずつ大学の研究紀要などに研究発表を試みた。しかし、最終的に膨大な資料の整理し論文の形でまとめるには、多くの労力と時間を必要とする。
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