(研究目的) (1)昨年に続き、海外におけるこれまでの授業研究成果を実地調査し、量的手法の限界点を実践的に明らかにする。 (2)さらに量および質の各手法の特質を精査しながら、「学習者としての教師」を形成するための両手法の「融合モデル」の具体的手順を明示し、ある授業を使ってその有効性を確認する。 (結果) (1)本年(平成14年度)は、ペルーを中心とした南北米の諸研究を現地調査し、アメリカはもとよりカナダでも、質的手法と量的手法の融合的な研究が盛んになされていることがわかった。私の提唱する「結合モデルS型」に近い授業研究が最近少なからず見られるように思われた。その中の質的手法として、語り分析、エスノ分析、ポートフォーリオ、リフレクション分析などが用いられていた。 (2)授業研究のモデルとしてすでに提案した融合型、すなわち、「融合モデルR型」「融合モデルS型」「結合モデルR型」「結合モデルS型」の4下位モデルである。高校数学教師の協力を得てこれらの4モデルの中で最適なものを実際の授業データを元に検討した結果、「結合型モデルS型」が最も妥当であることがわかった。 (3)最終年度である今年は、このモデルを高校の数学授業に当てはめた結果、質と量の組み合わせた本研究モデルが、生徒一人ひとりの学習過程の内実を探るのに最適であることを確認した。
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