研究概要 |
本研究の目的は、これまで我が国でほとんど手つかずであった障害乳幼児のための発達支援について、家族参加や家族の基で可能な方法を確立することである。この家族参加型療育の意義は、家庭における遊びのメニューが豊富になること、また、子どもを取り囲む家族(親子)の絆を密にするため育児の循環が良くなり、その結果、形式的育児から開放的で柔軟な育児へと転換が図られることなどがあげられる。 本年度は、障害乳幼児のためのPlay-Based AssessmentとIFSP(Individualized Family Service Plan)の開発に向けた基礎的研究に取り組んだ。まず、AEPS Curriculum for Birth to Six Years(J.Cripe, D.Bricker et al. ; 1993)、Play-Based Assessment(T.W.Linder ; 1993)、身体活動による早期介入(B.D.Veltman et al. ; 1995)を検討した。その結果、Play-Based InterventionにおけるTransdisciplinaryアプローチとは、従来までの一般的なアプローチ方法と異なり、セラピーを子どもの日々の生活における自然な活動に統合していく方法やあること、各専門家がチームを構成し、それぞれの専門知識や技術を共有しあいながら活動する方法であることが明らかになった。また、そのプログラムは、Play=遊びを基軸とし、プログラムの全課程において家族参加が基本となるものであった。これらの基礎的研究を踏まえ、障害乳幼児の発達支援にむけて、小林らが文部省科学研究費補助金研究(課題番号:08010248,平成8年、9年、10年度)を受けて開発したMSA(Movement Skills Assessment)を3歳から6歳の幼児800名と障害乳幼児70名に適用した。その結果、各年齢ごとの発達課題(development Task)としての指標となる項目が明らかになった。現在、両親など家族自らが取り組める遊びの療育プログラムの作成に向け、障害乳幼児のムーブメントスキルの発達を分析中である。
|