本研究の目的は、障害乳幼児の発達支援について、家族参加型のシステムの方法を確立することであった。この家族参加型の発達支援は、障害児を抱える家族が、病院や療育センター、障害児施設などの専門機関で子どもを支えてもらうだけでなく、自分たちの環境で支援するという「家族力」を参加させるものである。 本研究は、(A)障害乳幼児のPlay-Based Assessmentの開発、(B)家族支援システムに向けた基礎的研究(研究I・II)、(C)ムーブメント教育による障害乳幼児の家族支援の構造化(研究III・IV・V)について、以下に示す研究で構成されている。 まず、研究Iは、米国の家族支援計画(Individualized Family Service Plan ; IFSP)における家族アセスメントの変遷について、IDEAの法律における家族アセスメントの記述、主な家族支援モデル、さらに早期介入における家族アセスメントツールを概観した。そして、研究IIは、障害児を持つ父母に子育て充足感を与える家族支援の検討を行った。この研究では、障害児を持つ保護者(170名)を対象に調査を行い、両親の持つサポート源が「子育てに対する親和性」「子育てに対する肯定感」「子育てストレス」とどのような関連を持つかを明らかにした。 研究IIIは、重症心身障害児へのムーブメント教育による支援の有効性を明らかにするために、療育プログラムの分析を通して、療育施設を核としたファミリーサポートプログラムを用いた支援のあり方を「子どもへの発達支援」「保護者への子育て支援」の二つの視点から検討した。そして、研究IVならびに研究Vでは、ムーブメント教育・療法による障害乳幼児への支援の考え方とPlay-Based Assessmentによる支援の実際を明らかにした。このPlay-Based Assessmentは、子どもの感覚運動とコミュニケーションに関わる71項目のアセスメントで、各項目ごとに支援上の着眼点と具体的な支援の進め方が示されている。 本研究において、我々が開発したPlay-Based Assessmentとそれに基づくプログラムは、それぞれの家庭で家族が参加して取り組むことが可能であり、障害乳幼児の家族支援に直接結びつく新たな方法であることが示唆された。
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