フランスにおける技術教育の日本への示唆は、現代フランスの普通教育としての技術教育は、科学的な系統性か子どもの生活概念かの教授理論上の二元論をのりこえた、科学的な系統性をふまえた上での生活概念への注目というフランス教育改革の動向の一環としてとらえられることである。 「世界の発見」科は、日本の「生活」科と同様に、子どもの身近にある生活環境を対象に活動や経験をさせているが、技術教育において、子どもにおける生活概念から科学的概念への科学的論理思考の発展を重視する点は、日本でも参考にすべきである。「科学・技術」科では、科学(理科)教育と技術教育との関連が参考になる。日本の理科教育では、自然科学の概念を確認するための製作や実際に作ってみるという意味での「ものづくり」が主流であり、技術教育独自の科学的概念の学習には注目されない問題があるが、フランスにおける理科教育と技術教育との相互の関連性が、日本でも参考になる。フランスの中学校における「技術科」は、生産過程の教育として、系統性(科学的概念と技能のオペレーション)と総合性・生活性(製作におけるプロジェクト)とが関連性をもたされており、日本においても参考すべき重要な視点になる。
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