フランスにおける普通教育としての技術教育の教科としては、旧学習指導要領の「科学・技術」科の性格を受け継ぐ技術教育との関連が強い生活環境に関する総合的教科である小学校の「世界の発見」科と科学教育と技術教育との統合教科の「科学・技術」科があり、中学校では科学教育と技術教育とが分化した「技術」科が成立している。これらの教科は、フランスの教育改革と、それに基づく初等教育及び中等教育の教育課程全体の中で位置づけられており、技術教育が総合的教科、統合教科、分化した教科として位置づけられている。しかし、これらの教科は、連続性を持ちながら、「技術」科にみられる生産過程の教育としての科学的な系統性が教育内容に示されるように、技術教育の科学的な系統性が重視されている。また、その一方では、現代フランスの教育改革の動向の一つである子どもの生活概念への注目による技術教育における総合性、統合性の重視もみられる。つまり、現代フランスの普通教育としての技術教育は、科学的な系統性か子どもの生活概念かの教授理論上の二元論をのりこえた、科学的な系統性をふまえた上での生活概念への注目というフランス教育改革の動向の一環としてとらえられる。
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