(1)今回の要録改訂を戦後の教育評価史上に位置付けるために、戦後の教育評価研究をリードしてきた人々(たとえば、橋本重治、正木正、東井義雄など)に着目して、「人物でつづる教育評価の歴史」に着手した。 (2)今回の要録が教育現場に与えている影響を知るために、京都府、市の小学校、中学校にアンケート調査を実施した。その調査項目としては、今回の要録での中心問題となっている「目標に準拠した評価」における基準策定の問題、評定と観点別評価の関係の問題、さらには総合的な評価の問題などである。 (3)今回の要録改訂の特徴について、理論的な検討を行った結果を研究論文や雑誌の連載記事に掲載した。その理論的な帰結としては、戦後の教育評価論の基調であった「相対評価」と「個人内評価」の接合構造が崩壊して、「目標に準拠した評価」と「個人内評価」の結合構造、その具体的な展開としての「オーセンテック・アセスメント」の考え方が展開されつつあることを確認した。なお、研究分担者の田中は、それらの理論的な検討の成果を中間報告書としてまとめた。 (4)アメリカにおける評価研究の動向、ポートフォリオ評価法の実践を明らかにするべく、訪米(シカゴ)して調査するとともに、レビュー(クロー・アイランド校ヒバート校長)を受けた。その結果、たとえばポートフォリオ評価法を支える評価論としては、目標準拠型と個人内評価型の二つがあることが理解できた。
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