本研究の目的は、芸道における「型」の形成を検証することにある。その際、(1)「型」とは伝統の集積された客観である、(2)「型」を形成せしめる核心は、文字や書物を媒介としない教育の方法・形態こそがベストである、という二つの意味が内在化していることに留意した。 こうした独自の視点にたち、以下三点を中心に検証をすすめる。 (1)「型」の形成に大きく寄与すると想定される口承の教育の実効性を検証すること、(2)実効性の判断に動作解析等の観点を取り入れたこと、(3)比較対照のため3年間に亘っての観察と記録化を図ったこと、の三点である。 《平成14年度》の研究進捗は、ほぼ予定通りで順調である。 ○芸能の成立及びその背景に関する検討と口承の教育に関する記録 各地を代表する芸能の成立及びその背景に関する歴史的研究の基礎資料の収集を行なった。また、口承の教育に関する秘伝の実際を祭礼行事に探ることもできた。 ○研究成果報告書の作成 平成15年度には、3ケ年の研究成果を「研究成果報告書」として刊行する。
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