研究課題/領域番号 |
13610297
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
宮本 健市郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (50229887)
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研究分担者 |
金丸 晃二 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (30105192)
名須川 知子 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (50144621)
杉尾 宏 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (20033582)
伊藤 博之 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助手 (80243343)
西井 麻美 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 助教授 (90218107)
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キーワード | 時間 / 時間割 / アメリカ / 日本 / イギリス / ブラジル / 近代学校 / 幼稚園 |
研究概要 |
19世紀以後のアメリカ、イギリス、日本、ブラジルの各国の授業時間割の実態を比較して、近代社会に共通する時間割編成原理を探った。英米では、19世紀末までに、授業の能率を上げるために、小学校の時間割が整備され、厳密になった。そのことは、子どもと教師の時間を監視する学校システムができあがったことを意味していた。20世紀になって、進歩主義教育運動が盛り上がると、時間割はしだいに柔軟な時間割に変化していった。その原因としては、子どもの自然な発達やリズムの重視する心理学が出現したこと、子どもの多様な活動を奨励する経験カリキュラムやプロジェクト・メソッドが多くの学校で実施されたこと、個別活動の時間が確保されるようになったことなどが考えられる。 日本では、幼稚園を見てみると、明治期に、遊戯、唱歌、談話、手技の教科が設定され、時間割が作成された。だが、これは大正期になると「あてがいぶち」保育として厳しく批判され、代わって、幼児の生活リズムを重視した時間割編成が出現した。小学校を見ると、明治期には、一斉授業を行うのに最も都合のよい画一的な時間割が全国に普及していた。これにたいして、大正新教育運動の時期には、木下竹次の奈良女子師範学校附属小学校での合科学習の実践に見られるような、子どもの生活現実を基にした時間割が出現した。 ブラジルでは、1930年以後、国家教育計画が策定されたものの、地域格差、学校間格差が大きく、とりわけ農村と都市では全く状況が異なっている。設備や教員数といった物的条件の制約の中で、いかに授業を有効に進めることが現在も課題となっており、時間割編成もそのための手段となっている。 イギリス、アメリカ、日本の学校に共通しているのは、いずれの国でも19世紀末には、かなり厳密な時間割が普及したものの、20世紀初頭の新教育運動のなかで、柔軟な時間割に基づく教育実践が試みられたことであった。
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