研究概要 |
研究期間の最終年度に当たる平成15年度においては,これまで蓄積してきた自治体調査のまとめを行った。 1.埼玉県志木市-人口6.5万人の志木市は,国の少人数指導施策に加えて市独自に「25人程度学級」編制(小学校1・2年生-2002年度〜)に踏み込んでいる。そのことにより通常学級で行いうる配慮はよりきめ細かくなっている。しかし,障害児や不登校児など特別ニーズを持つ子どもへの対応のために,ラーニングサポート,ホームスタディボランティア,障害児学級介助員などを加配するとともに,通常学級とは別に障害児学級や適応指導教室などの居場所を多様に整備している。 2.愛知県犬山市-人口7.2万人の犬山市は,「学びの学校づくり」を市の方針として少人数指導や少人数学級編制に取り組むとともに,副読本づくり等も進めて学力保障に努めている。しかし,障害児や不登校への対応施策は明確ではない。 3.京都市-人口140万人の京都市は,市立養護学校として肢体不自由1校・知的障害2校の体制で進めてきたが,「総合制・地域制」構想の下に新たに1校を新設した上で障害種別を越えて4校体制に移行する予定である。こうした施策と,小中学校における少人数指導の推進や特別支援教育の充実との関連は必ずしも明確ではない。 4.島根県-人口76万人の島根県は,全国的には1エリア30万人を目途とした障害保健福祉圏域を7つ設定している(1エリア平均11万人)が,盲・聾・養護学校の通学圏域との重なりは不明確であり,障害種を越えた総合化も進んではない。少人数指導や県独自の少人数学級編制・過大学級への教員加配との関わりも明確ではない。 5.鳥取県-人口62万人の鳥取県は,小学校1・2年生の30人学級編制(2002年〜)及び中学校1年生の35人学級編制(2003年〜部分試行)を独自に進めるとともに,LD専門員等の計画養成・配置を進めている。加えて,3つの障害保健福祉圏域に重なる形で盲・聾・養護学校の総合化の促進・センター的機能の充実を図っている。
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