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2002 年度 実績報告書

戦後ドイツ教育学におけるナチズム体験の内的克服の様態に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13610301
研究機関広島大学

研究代表者

坂越 正樹  広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80144781)

キーワード教育学 / 教育史 / ドイツ / ナチズム / ノール,ヘルマン
研究概要

精神科学的教育学派を中心とするドイツの教育学者たちが、第2次世界大戦後、自らのナチズム体験をどのように内的に克服したのかを分析、考察し、次のような成果を得た。本研究では、とりわけゲッティンゲン教育学派と称される教育学者、,教育者集団を形成し、戦前・戦後を通じてドイツ教育の理論と実践に大きな影響力を保持したノールと、その学派を中心的な分析の対象とし、次のような成果を得た。
1.ノールは、1933年段階ではナチズムに親近的な言説を示していたが、1937年に大学教授職を早期退職したという事実が「免罪符」となって、1945年ドイツ崩壊直後から教育活動を再開し、教育制度の復興にも大きく関与していたことが確認された。イギリス占領軍行政機関からも協力者としての位置づけを得ていた。
2.平成13年度の研究で収集整理したノールの書簡から、1945年5月以降、ノールが各地の弟子たちと頻繁に連絡をとり、ノールが戦後ドイツ教育者のネットワークセンターになっていたことが明らかになった。また、ノールが中心になって刊行された雑誌『ザンムルンク』の分析から、この雑誌刊行が1945年夏にはすでに準備されていたこと、内容的には、ナチス以前のよきドイツの伝統、ヨーロッパ的な価値理念への回帰を訴えるものであったことが明らかになった。
3.戦後のノールにとって、ナチズムは「悪魔的欺瞞」「過度の民族主義」「盲目的崇拝」として振り返られるが、その克服の方途は「単純な道徳」「精神世界の永遠性」「隣人愛」等の再生であり、自らのナチズムへの親近性を問い直す視点は認められない。ナチス支配期を空白期間として、それ以前と以後の同質性、連続性に、ドイツ教育学と自らの拠り所を求めていたのである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 坂越 正樹: "精神科学的教育学派のナチズム体験 -ヘルマン・ノール1945年-"教育学研究紀要. 48巻第一部. 44-49 (2003)

  • [文献書誌] 小笠原 道雄: "教育の哲学"放送大学教育振興会. 220 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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