昨年度までに行った自閉性障害者2名と知的障害者1名を対象とした研究の結果、自閉性障害者は、表情動画の顔面下部により依存した判断を行っていることが示された。一方、知的障害者は、下部の手がかりも利用しているが、むしろ顔の上部を重視していることが推測された(若松、投稿中)。 平成13年度は、自閉性障害者と知的障害者各々の対象者の人数を増やして、これらの結果の妥当性についてさらに詳しく検討することを計画しており、科学研究費により揃えたディスプレイやビデオカメラを活用しながら、現在データ収集を実施中である。対象者確保の難しさなどから当初の計画より遅れてはいるが、科学研究費の旅費を利用して京都まで研究に出向くなどして、年度内にはデータ収集を完了し、来年度にその成果発表を行う予定である。なお、データの分析の際には、やはり科学研究費で購入したパソコンソフトウェアを用いた統計処理を実施するつもりである。また、来年度は、同様に科学研究費で購入したパソコンを利用し、知的障害者施設と連携しながら表情理解学習の実践を進めていく中で、表情認知成績の向上に関連する要因の明確化や、表情理解のためのパソコンによる学習プログラムの作成などを行っていく予定である。さらには、自閉性障害児・者の適切な表情表出を促進する教材としての動画の利用可能性についても、理解学習と並行して基礎データを得ながら、併せて検討していくことを考えている。
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