現代のような変動社会にあっては「子ども観」は世代によって異なっていいるだろう。また子どもに直接接触する機会の多い母親(=女性)と子どもに接触する機会の少ない父親(=男性)とでも、つまり性別によっても「子ども観」は異なっているだろう。さらに都市部、農村部という地域別によっても「子ども観」は異なっていると思われる。 そこで本年度は、世代、性、地域を考慮して成人36人を選定して面接聴取調査を実施した。その結果、以下の諸点が明らかになった。 1.一般に子ども期の範囲を乳幼児から大学生くらいまでの相当に長い期間と捉えている。そして子ども観は子どもの発達段階によって異なり、肯定的イメージから否定的イメージヘと移っていく。 2.今日の「子ども観」は肯定的イメージから否定的イメージまで相当に多様化している。しかし成人の世代と性によって「子ども観」は異なっている。 (1)成人世代のなかでも若い世代ほど子どもに対するイメージは多様化しており、しかも否定的イメージが多い。 (2)だが、年配の世代であっても、子どもに対するイメージは安定しているわけではなく、否定的イメージは若い世代ほどに多くはないものの、子どもを捉えどころのないもの、理解できないものと見ている。 (3)成人女性の方が子どもに対するイメージは多様である。成人男性は否定的イメージが多い。 3.肯定的・否定的な軸とは別に、子どもを不安な存在とする見方が成人のどの世代にも見られる。
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