変動の激しい現代社会にあっては「子ども観」は世代によって大きく異なっているだろう。一体現代の成人はどのような「子ども観」をもち、その「子ども観」はどのような変化を辿ってきているのだろうか。 昨年度の予備調査の結果を踏まえて今年度は統計的調査を実施した。調査は郵送法とし、第一段階として都市地域、農村地域からそれぞれ700名余の調査対象者を選挙人名簿から選んで実施した。主要な結果を述べれば以下のようである。 1.農村地域の「子ども観」に比べ都市地域の「子ども観」は多様であり、また否定的イメージが多い傾向がある。しかしこの傾向は農村地域が都市地域よりも高齢者が多いが故の結果とも考えられる。つまり成人であっても若い世代ほど多様な子どもイメージをもち、かつ否定的イメージをもっているのだ。 2.常識的に考えれば、高齢者層ほど自身の子ども時代の「子ども観」と今の「子ども観」との間のギャップは大きく、成人であっても若い世代ほどギャップは小さいのではないかと思われるが、実際はむしろ逆であり、若い成人世代ほど自身の子ども時代の「子ども観」と今の子ども観との間に大きなギャップを感じている。 3.今日にあっては農村地域であっても地域での人間関係は希薄だされているが、しかし、それでも都市地域と比べれば未だなお成人と子どもとの日常的な接触は都市地域よりも多い。そのために農村地域の方が肯定的な「子ども観」を抱いている。ただし、日常的な接触といっても親密さの程度は低い。したがって「子ども観」は接触の親密さよりも接触頻度によって規定されるといえる。
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