第一年度、第二年度は、学校にかかわる、いじめ問題を中心とした人権侵害事件と、基本的事件を尊重する判決をとりあげて、教材化し、資料を作成し、それをもとに小・中学校での検証授業に取り組んできた。判決書資料集とその判決書教材の構成原理については、平成5年3月に、いじめ自殺事件、暴力・暴力事件、体罰、セクハラ、社会問題としてのハンセン病訴訟、水俣病訴訟などをあげての、判決書教材を集約した中間報告書として既に提出している。 最終年度である平成15年度は、中間報告書をもとにして、研究の整理、報告、雑誌論文発表を経る中で、本研究全体の論点を整理し、研究上、及び実践上の資料を補足し、再度、典型実践例を整理して、資料集及び授業事例集を作成した。 とりわけ最終年度は、児童・生徒が「人権」「いのち」「自尊心」について学ぶことのできる判決書資料をもとにした授業のあり方を中心に検討した。少年事件や、凶悪犯罪が社会問題化してきた中で、市民社会の基本原則を学ぶ中で規範意識を育成し、人権感覚を向上させる中で学校内の自律的規範を確立していくことに重点化した報告のとりまとめに取りくんだ。 また、平成15年度は、日本学校教育学会等で報告するとともに、研究代表者の采女や、研究分担者の梅野は、本研究成果を活用して、教育法学関係の研究誌の一つ『季刊教育法』(エイデル研究所)に「教育管理職のための法常識講座」を連載した。
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