本年は初年度であることから、これまでに進めてきた知的障害養護学校との連携をさらに深め、主として学校に在籍している自閉(症)児の事例を中心に、教育課程の枠組みや指導目的、指導方法内容について、担当教師との情報交換を行うことを目的として研究を進めている。今年度から協力を依頼した養護学校の学校評議員を引き受けたことで、随時必要に応じて学校現場を訪ねることがより容易になった。このことを利用して管理職との相談の上、年間8回にわたって学部および全体研修を行い、自閉(症)児への教育的対応の在り方について現場教員との情報交換あるいは教育相談を密に行っている。具体的な事例研究については、現在中学部の自閉(症)を対象とし、担当教師と協力しながら月に2-4回のペースでビデオ録画を中心とした行動観察を行っている。さらに、この行動観察を通じて得られた経験を生かして、より使いやすいチェックリストの作成も行っている。これらの資料を基に客観的な行動分析をはかり、担当教師とともに指導の在り方や内容、方法についての課題について協議を進め、年度末には県の研究会で共同発表を行う予定である。 さらに本年は、全国で行われている知的障害養護学校における自閉(症)児への対応について文献的な検討も合わせて行っている。すなわち、全国に散見する類似した取り組みについて資料を収集し、それらについて横断的に検討を加えることで、沖縄県内の知的障害養護学校における地域性や特殊性、あるいは類似した課題などについて整理し、養護学校教員などとの情報交換に供する。文献の収集は現在も進めているが、収集と同時にデータベース化の試みも行っている。
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